当院は、通常の「一般歯科」のほかに、「小児歯科」、「歯科口腔外科」を標榜しております。「小児歯科」は字の通りですが、「歯科口腔外科」は耳慣れない方も多いのではないでしょうか。「歯科口腔外科」とはどのような治療をする科なのでしょう。
「歯科口腔外科」も実は字の通りで「口の中の外科」ということです。
対応する主な治療として、
現代人は、軟らかく加工したものを食べるようになったせいか、少しずつあごの骨が小さくなってきたのではないかと言われています。そのせいで、大昔はきちんと並んでいた歯が並ばなくなってきているようです。そうなると、最後に生える歯である親知らずが、おかしな位置に埋まってしまい、後で痛みが生じるようになるのです。
埋まっている歯はそのままでは抜歯できませんので、どうしても歯肉を切ったり、骨を削ったりと、特殊な処置と時間が必要になります。一般の歯科医院では大学病院の歯科口腔外科に紹介することも多いのですが、私自身がその紹介される側におりました。当院では、よほど特殊な親知らずでない限り、大学病院に紹介することなく抜歯が可能です。
虫歯や昔の治療のスキマから歯の根の先にばい菌が侵入し、炎症を起こすことは、比較的多い症例です。その場合、歯に穴をあけて根の治療(根管治療)をすることとなるのですが、根の先は骨の中にあり、目に見えないところです。しかもばい菌も目に見えるものではないため、根管治療は時間と手間がかかる割に再発する可能性が高いものです。そこで、麻酔をして歯肉を開けて、直接根の先の膿の袋を取ってしまうのがこの方法です。目で直接見ながら完全に病巣を取り出すので確実で、さらに傷は10日ほどで治ってしまうので治療期間も短くできるなど、メリットの多い方法です。
残念ながら抜歯をしなければならなくなった時、もしきれいに取り出せる親知らずがあって、その形が抜歯される歯と適合する場合、親知らずを移植することが可能です。成功率は100%とは言えないものの、保険でできる治療としての選択肢としては有効なものと思われます。
あごの関節やその周辺の筋肉に、痛みや運動障害を生じるのが顎関節症です。現代人の多くが潜在的に罹っているとも言われています。ほとんどは薬やマウスピースで軽快しますし、重症例では関節内への薬液注入などで治療できます。
歯の痛みを伝える神経そのものにトラブルが生じると、表面上は異常がないのに、まるで歯や歯肉が痛むように感じることがあります。これは神経痛といわれるもので、いわば電気を伝える電線がショートするようなものです。主に神経の流れを落ち着かせる飲み薬や漢方薬で対応できます。
加齢や薬の副作用によって唾液が出にくくなると、口の中がかさついたりヒリヒリしたりしてきます。通常の治療ではなかなか治癒しませんが、生活環境の改善や漢方薬の応用で軽快させることができます。
稀ではありますが、唇や舌、歯肉にも癌ができることがあります。当院では癌治療はできませんが、以前に大学病院の歯科口腔外科で癌治療に携わっていたため、癌の可能性の高いものと、確実に癌ではないものを見極めることはできます(ただし、確定診断は大学病院で組織を調べてもらう必要があります)。
今ではすっかり有名になったインプラント治療も、手術をするという点で立派な歯科口腔外科の治療です。当院では、大学病院の歯科口腔外科に所属していた知識を生かし、より清潔に、より安全にインプラントを進められるよう日々努力しております。詳しくはインプラントのページをご覧ください。
歯科医院では多くのものを削ります。患者さんの虫歯、銀歯の調整、入れ歯の調整、顎関節症のマウスピース・・・歯科医院の院内の空気には、細かい粉じんが多く、残念ながらあまりきれいなものではありません。そこで当院では、「口腔外バキューム」という大型の掃除機のような設備を用い、削ったその場から吸い取るようにして、院内の空気が汚れにくくなるよう工夫しております(ちなみに一般的に治療の時に使われる掃除機のような器具は「口腔内バキューム」です。似ていますが、基本的に水や唾液を吸う道具で、粉じんまで除去するのは難しいのです)。